「世の中というものは、今も昔もこれといって定まったものではありません。その中でも、女性の運命はとても不安定で、しみじみと哀れに思われます」

紫式部の名言(画像はイメージです)
紫式部の名言(画像はイメージです)
  • 970-980年頃?~1014-1031年頃?(諸説あり)
  • 日本出身
  • 作家、歌人

原文

「世の中といふもの、さのみこそ、今も昔も定まりたることはべらね。中についても、女の宿世はいと浮びたるなんあはれにはべる」

現代語訳

「世の中というものは、今も昔もこれといって定まったものではありません。その中でも、女性の運命はとても不安定で、しみじみと哀れに思われます」

解説

この言葉は、世の無常と女性の運命の不安定さを語っている。「世の中といふもの」は、社会や人生を指し、「定まりたることはべらね」は、変わらずに決まっていることはないという意味である。特に「女の宿世はいと浮びたる」は、当時の女性が結婚や縁談によって人生が大きく左右され、自己決定権がほとんどなかった社会状況を反映している。紫式部は、その脆弱な立場に深い同情を寄せているのである。

現代社会においては、男女の平等が進んだとはいえ、依然として性別による不平等や立場の不安定さは残っている。たとえば、キャリア形成や家庭生活における選択において、女性に過剰な負担が集中することは珍しくない。この名言は、社会構造における不確実性と、その中で女性が直面する課題を千年前に指摘しており、現代にも通じる問題意識を含んでいる。

さらに、この言葉は無常観に基づく人間の生き方の示唆を与える。変わらないものは何一つないという現実を受け入れながらも、その中でどう dignified(品位ある)に生きるかが問われる。この名言は、女性の宿命という具体的な問題を超え、変転する世の中で人がどのように自己を保つべきかという普遍的なテーマを含んでおり、今もなお深い示唆を与えているのである。

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