「俺がボクシングであまりにも偉大だったから、ロッキーみたいな白人のイメージを映画で作らなきゃならなかったんだ。アメリカってのは、どんな形であれ白人のヒーローが必要なんだ。イエス、ワンダーウーマン、ターザン、そしてロッキー」

モハメド・アリの名言
モハメド・アリの名言
  • 1942年1月17日~2016年6月3日
  • アメリカ合衆国出身
  • プロボクサー、社会運動家、人道主義者
  • ヘビー級チャンピオンとして活躍し、「蝶のように舞い、蜂のように刺す」の名言で知られる。リング外でも公民権運動や反戦活動に関わり、スポーツと社会正義の両面で世界的な影響を与えた。

英文

”I have been so great in boxing they had to create an image like Rocky, a white image on the screen, to counteract my image in the ring. America has to have its white images, no matter where it gets them. Jesus, Wonder Woman, Tarzan and Rocky.”

日本語訳

「俺がボクシングであまりにも偉大だったから、ロッキーみたいな白人のイメージを映画で作らなきゃならなかったんだ。アメリカってのは、どんな形であれ白人のヒーローが必要なんだ。イエス、ワンダーウーマン、ターザン、そしてロッキー」

解説

この言葉は、モハメド・アリがアメリカ社会における人種的ヒーロー像の偏りと、その背景にある文化的欲望を鋭く批判した名言である。彼は自らの偉業があまりにも大きかったため、メディアはフィクションの「白人ヒーロー像」を創出することで、黒人チャンピオンの現実的存在感とバランスを取ろうとした、と指摘している。それは、実在のアスリートとしての彼が持つ力が、社会の無意識の枠組みに挑戦していた証拠でもある

アリは「ロッキー」という象徴を通じて、映画や神話、ポップカルチャーにおける白人ヒーローの偏在性を指摘しており、「イエス」「ワンダーウーマン」「ターザン」と並べることで、歴史的・文化的に白人化されてきた象徴的存在を批評している。この発言は、単なるボクシングの話ではなく、アメリカ社会の「誰がヒーローであるべきか」という無意識の構造を問い直す、鋭い社会的メッセージでもある

現代においても、メディアやエンターテインメントにおける多様性と表象の不均衡は依然として議論の対象である。アリのこの名言は、誰が物語の中心に描かれるかという問題が、単なるフィクションの話ではなく、社会の権力構造やアイデンティティに直結していることを痛烈に教えてくれる。それは、偉大なアスリートであり同時に文化批評家でもあったアリの、最も深い知性と挑戦精神を示す言葉である

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