「俺にはベトコンと争う理由なんかない」

- 1942年1月17日~2016年6月3日
- アメリカ合衆国出身
- プロボクサー、社会運動家、人道主義者
- ヘビー級チャンピオンとして活躍し、「蝶のように舞い、蜂のように刺す」の名言で知られる。リング外でも公民権運動や反戦活動に関わり、スポーツと社会正義の両面で世界的な影響を与えた。
英文
”I got no quarrel with them Vietcong.”
日本語訳
「俺にはベトコンと争う理由なんかない」
解説
この言葉は、モハメド・アリが1967年にベトナム戦争への徴兵を拒否した際に発した、歴史的かつ極めて象徴的な名言である。彼は信仰と良心に従い、「自分に何の害も与えていない人々と戦うことはできない」として、国家の命令よりも道徳的信念を優先した。この一言には、彼の反戦姿勢、公民権運動への連帯、そして世界の不正に対する鋭い直観が凝縮されている。
当時アリは、世界チャンピオンという地位と名声を手にしていたが、徴兵拒否によってタイトルの剥奪、ライセンスの停止、さらには有罪判決という厳しい代償を受け入れることになった。それでも彼は、「真実を語る者」として信念を貫いた。この発言は、単なる政治的立場の表明ではなく、「自分の敵が誰であるかを自ら決める」という主体的生き方の宣言でもある。
現代においても、「自分が信じるもののために、社会的圧力に屈せず立ち向かう」というアリの姿勢は、倫理的リーダーシップや良心の自由を象徴する模範とされる。この名言は、強さとは拳の力ではなく、信念に生きる勇気に宿ることを体現した、戦争と平和、正義と個人の尊厳をめぐる最も力強い一言のひとつである。
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