「ワニと格闘し、クジラと取っ組み合い、稲妻に手錠をかけて雷を牢屋にぶち込んだ。先週は岩を殺し、石に怪我をさせ、レンガを病院送りにした。俺があまりに手強すぎて、薬でさえ病気になるほどさ」

- 1942年1月17日~2016年6月3日
- アメリカ合衆国出身
- プロボクサー、社会運動家、人道主義者
- ヘビー級チャンピオンとして活躍し、「蝶のように舞い、蜂のように刺す」の名言で知られる。リング外でも公民権運動や反戦活動に関わり、スポーツと社会正義の両面で世界的な影響を与えた。
英文
”I done wrestled with an alligator, I done tussled with a whale; handcuffed lightning, thrown thunder in jail; only last week, I murdered a rock, injured a stone, hospitalised a brick; I’m so mean I make medicine sick.”
日本語訳
「ワニと格闘し、クジラと取っ組み合い、稲妻に手錠をかけて雷を牢屋にぶち込んだ。先週は岩を殺し、石に怪我をさせ、レンガを病院送りにした。俺があまりに手強すぎて、薬でさえ病気になるほどさ」
解説
この言葉は、モハメド・アリによる伝説的なリズム詩(ラップ調の挑発)であり、彼のパフォーマーとしての才能とユーモア、そして圧倒的な自信を象徴する名言である。現実には不可能なことを次々と並べることで、彼の「無敵神話」を詩的に構築し、対戦相手を心理的に揺さぶりながら、観衆を熱狂させる巧妙な戦術が詰まっている。
この詩は、アリの「言葉のボクシング」とも言えるスタイルを体現しており、強さを誇示するだけでなく、その誇示の仕方自体が一種の芸術となっている。「medicine(薬)でさえ病気になる」という締めくくりは、アリならではの過剰な比喩表現の極みであり、ユーモアの中に確かな挑発と風刺が込められている。このような言葉によって、彼は試合前から物語を作り、観衆を惹き込んだ。
現代においても、この名言は単なる自慢や虚勢ではなく、「自己表現の力」「物語を語る力」「魅せる力」の重要性を伝えている。アリのこの一節は、スポーツとパフォーマンスの境界を越えた名演技であり、試合そのものを超える「伝説の舞台」を言葉だけで築き上げることができた稀有な存在であることを証明している。それは、強さとは技術だけでなく、魂の表現力に宿るということを教える永遠の名言である。
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