「俺は2万発のパンチを食らったと計算してる。でも何百万ドルも稼いで、その多くを手元に残した。話し方はゆっくりになったかもしれないが、頭はちゃんと働いてる」

- 1942年1月17日~2016年6月3日
- アメリカ合衆国出身
- プロボクサー、社会運動家、人道主義者
- ヘビー級チャンピオンとして活躍し、「蝶のように舞い、蜂のように刺す」の名言で知られる。リング外でも公民権運動や反戦活動に関わり、スポーツと社会正義の両面で世界的な影響を与えた。
英文
”I calculate that I took 20,000 punches, but I earned millions and kept a lot of it. I may talk slow, but my mind is OK.”
日本語訳
「俺は2万発のパンチを食らったと計算してる。でも何百万ドルも稼いで、その多くを手元に残した。話し方はゆっくりになったかもしれないが、頭はちゃんと働いてる」
解説
この言葉は、モハメド・アリが自らの過酷なキャリアと引退後の生活を振り返りつつ、ユーモアを交えて語った名言である。長年にわたる激しい戦いの中で、2万発ものパンチを受けたという自己評価には、ボクシングという競技の過酷さと、それに対するアリの耐久力がにじみ出ている。同時に、それを代償として得た財産や人生の成果についても誇りを持って語っており、痛みと報酬のバランスを冷静に受け止めている。
「話し方はゆっくりになった」という部分には、パーキンソン病を患った晩年の自分への皮肉と現実受容が込められている。しかし彼は「頭はちゃんと働いてる」と力強く続けることで、肉体的な衰えがあっても精神の明晰さと自我の健在を示している。この言葉には、自らの人生を笑いに変える強さと、自己認識の鋭さが見て取れる。
現代においても、肉体的・精神的な損傷に直面しながらも、その人生を肯定的に語ることは多くの人にとって勇気となる。アリのこの言葉は、名声や栄光の裏にある苦痛を隠すのではなく、それを受け入れた上で前を向くという、成熟した英雄像を映し出す。それは、偉大さとは勝利の数だけでなく、人生のすべてをどう受け止め、どう語るかによって測られるということを教えてくれる名言である。
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