「我々は、いかなる定義や国家の基準によっても、ムスリムとヒンドゥーは二つの大きな民族であると主張し、堅持する」

ムハンマド・アリー・ジンナー(画像はイメージです)
ムハンマド・アリー・ジンナー(画像はイメージです)
  • 1876年12月25日~1948年9月11日(71歳没)
  • パキスタン出身
  • 政治家、弁護士、パキスタン建国の父、初代総督

英文

”We maintain and hold that Muslims and Hindus are two major nations by any definition or test of a nation.”

日本語訳

「我々は、いかなる定義や国家の基準によっても、ムスリムとヒンドゥーは二つの大きな民族であると主張し、堅持する」

解説

この言葉は、ジンナーが提唱した二民族理論(Two-Nation Theory)を端的に示すものである。彼はインド亜大陸におけるムスリムとヒンドゥーの違いを、単なる宗教的差異ではなく、文化・歴史・価値観に根ざした民族的独自性と捉えた。したがって両者を一つの国家にまとめるのではなく、別々の政治的単位として認めるべきだという論理が導かれたのである。

歴史的背景として、全インド国民会議は一国二宗教の統合を目指していたが、ジンナーはその枠組みではムスリムの権利とアイデンティティが保障されないと考えた。多数派であるヒンドゥーに政治的に従属するのではなく、ムスリムが独自に自己決定できる国家を持つべきだという主張が、やがてパキスタン建国運動の思想的基盤となった。

現代においても、この言葉は国家形成における宗教・民族的アイデンティティの意義を考えさせる。多民族国家の統合が困難な一方で、分離独立が新たな対立を生む場合もある。ジンナーの主張は、国家の正当性は多数派の統合だけでなく、異なる共同体の独自性を尊重することによって成立するという普遍的な課題を示している。

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