「シーア派が、自らに関わる問題において、選挙機関や政府機関で発言権を奪われる理由は見当たらない。我々はムスリム連盟を組織し、内部のあらゆる宗派や階層に正義が行き渡るようにしなければならない」

- 1876年12月25日~1948年9月11日(71歳没)
- パキスタン出身
- 政治家、弁護士、パキスタン建国の父、初代総督
英文
”I see no reason why the Shias should be debarred from having their voice in the elected bodies and governmental institutions in any matter which affect the Shias. We must so organise the Muslim League that justice is done to every sect and section inside it.”
日本語訳
「シーア派が、自らに関わる問題において、選挙機関や政府機関で発言権を奪われる理由は見当たらない。我々はムスリム連盟を組織し、内部のあらゆる宗派や階層に正義が行き渡るようにしなければならない」
解説
この言葉は、ジンナーがイスラム共同体内部の多様性を尊重する姿勢を明確に示したものである。彼はムスリムの統一を強調しつつも、それが単一の宗派による支配ではなく、シーア派を含むすべての宗派が公正に扱われる形で実現されるべきだと考えていた。ここには、宗派間の対立を避け、内部の公正さと包摂性を基盤とした政治運営を志向するジンナーの思想が表れている。
歴史的背景として、インド亜大陸のムスリム社会はスンニ派が多数派であったが、シーア派や他の少数派も存在していた。ジンナーはパキスタン独立を進める過程で、これらの少数派を排除すれば共同体の団結は脆弱になると認識していた。そのため、ムスリム連盟を全宗派を包括する政治組織として構築する必要性を説いたのである。
現代においても、この言葉は強い意義を持つ。多宗派・多民族国家において、少数派の発言権を保障することは社会の安定に直結する。ジンナーの発言は、民主主義の基本原理である少数派の権利の尊重をイスラム共同体の中に適用しようとする先駆的な姿勢を示している。これは今日の国家建設や組織運営においても普遍的な教訓である。
感想はコメント欄へ
この名言に触れて、あなたの感想や名言に関する話などを是非コメント欄に書いてみませんか?