「アラブ民族主義と統一の時代は永遠に過ぎ去った。かつて大衆を動員したこれらの理念は、今や無価値な通貨にすぎない」

カダフィ大佐(画像はイメージです)
  • 1942年6月7日~2011年10月20日(69歳没)
  • リビア出身
  • 軍人、政治家、革命指導者、リビア国家元首

英文

”The times of Arab nationalism and unity are gone forever. These ideas which mobilized the masses are only a worthless currency.”

日本語訳

「アラブ民族主義と統一の時代は永遠に過ぎ去った。かつて大衆を動員したこれらの理念は、今や無価値な通貨にすぎない」

出典

出典不詳(編集中)

解説

この言葉は、カッザーフィーがアラブ民族主義の衰退を冷徹に認めた発言である。1950年代から60年代にかけて、ナセルを中心とする汎アラブ主義は中東の政治思想を牽引し、大衆を熱狂させた。しかし、現実にはアラブ連合やアラブ連帯の試みは失敗を重ね、各国が自国の利益を優先する傾向を強めた。カッザーフィーも当初はアラブ統一を掲げたが、やがてその限界を認めざるを得なくなったのである。

この発言の核心は、大衆を動員した理念が時代とともに力を失う現実を指摘している点にある。民族主義や統一の理想は、独立闘争期には強力な動員手段であったが、冷戦期の中東政治では国家間の利害対立に埋没していった。カッザーフィーの言葉は、そうした思想が「無価値な通貨」となり、現実政治において効力を失ったことを示す。

現代の視点から見ると、この発言は政治理念の変遷とその消費の速さを鋭く突いている。かつて人々を鼓舞したスローガンも、時代が変われば空虚な言葉と化す。アラブ世界に限らず、民族主義や統合の理想が現実の前に退潮する例は多い。この言葉は、政治的理想が歴史の中でどのように価値を失い、現実主義に置き換えられていくかを象徴的に表している。

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