「平和を最も破壊するのは中絶です。なぜなら、母親が自分の子どもを殺せるならば、私があなたを殺し、あなたが私を殺すことを妨げるものは何もなくなるからです」

マザー・テレサ
マザー・テレサの名言
  • 1910年8月26日~1997年9月5日
  • オスマン帝国(北マケドニア)出身
  • カトリックの修道女で聖人
  • インドで「神の愛の宣教者会」を設立し、貧困層や病人、孤児への支援活動を通じてノーベル平和賞を受賞した

英文

“The greatest destroyer of peace is abortion because if a mother can kill her own child, what is left for me to kill you and you to kill me? There is nothing between.”

日本語訳

「平和を最も破壊するのは中絶です。なぜなら、母親が自分の子どもを殺せるならば、私があなたを殺し、あなたが私を殺すことを妨げるものは何もなくなるからです」

解説

この名言は、マザー・テレサの生命に対する考え方と、その哲学における中絶への強い反対を表明したものである。彼女は、すべての命が神聖であり、守られるべきだと信じていた。特に、最も無力な存在である胎児の命を奪うことは、人間の基本的な愛や保護の本能に反すると考えていた。彼女の視点では、中絶は命に対する敬意や人間性の基本的な尊厳を損なう行為であり、それが社会全体に及ぼす影響は計り知れない。命が尊重されなくなることで、人々の間に不信や暴力が広がり、平和が失われていくと彼女は主張した

この言葉の背景には、マザー・テレサの深い信仰と奉仕の経験がある。彼女は人生を通じて、貧しい人々や苦しんでいる人々に寄り添い、その中で生命の価値と尊厳を守ることの重要性を痛感した。特に、弱い立場の人々や自分を守れない存在に対して、社会全体がどれだけ愛と支援を与えるかが、平和の基盤を作ると考えていたのだ。中絶は、彼女にとって生命の神聖さを否定する行為であり、それが他者をも軽視する文化を助長すると懸念していた

この意見には賛否両論があるが、彼女のメッセージは平和と生命の尊重に関する普遍的な問いを投げかけている。現代社会では、中絶に関する議論は複雑で多面的であり、女性の権利、健康、倫理、宗教的価値観が絡み合っている。マザー・テレサの考え方は、主にカトリック教会の教えに基づいており、すべての生命を保護することを最優先としている。彼女の視点から見ると、命の始まりから終わりまでが神聖なものであり、その一部を軽視することは、社会全体の平和と道徳的な基盤を揺るがす行為だと考えられている。

現代において、この言葉は倫理的なジレンマを引き起こすこともあるが、命の尊厳について考えるきっかけを提供する。たとえば、生命の価値をどう捉えるか、どのように人々が互いに支え合い、平和を築くかという問題に焦点を当てることができる。マザー・テレサの言葉は、単に中絶を否定するだけではなく、生命の尊重が社会の中でいかに重要であるかを問いかけている。彼女は、平和を築くためには、まず生命に対する深い敬意と愛が必要であり、それが人間関係の根本にあるべきだと訴えている

この名言は、生命の尊厳と平和の関連性について深く考えさせる。マザー・テレサは、私たちがどのように生命を大切にし、それに対する責任を持つかが、社会全体の平和を左右すると信じていた。彼女の言葉は、倫理的な問題に関して考える際の出発点として、生命の価値をどのように捉えるかという重要な問いを提供している。

中絶に関する補足

マザー・テレサは中絶に強く反対していた人物として知られている。彼女のカトリック信仰と慈善活動における倫理観に基づき、生命の神聖さを守ることを重視していた。彼女は人間の生命は受胎の瞬間から神の贈り物であるとし、中絶はその生命を奪う行為だと考えていた。

中絶に関する論争

中絶は世界中で大きな論争の的となっており、肯定派と否定派の立場からそれぞれ異なる倫理的、法的、社会的視点が存在する。

中絶肯定派の立場

  1. 女性の自己決定権
    中絶を支持する側は、女性が自身の身体に対する完全な権利を持つべきだと主張している。これは、妊娠が女性の身体に大きな影響を与え、その過程での選択は本人が最も適切に判断できるという考えに基づいている。特に、望まれない妊娠や、レイプ・近親相姦のケース、または健康上の理由などで、女性が選択する権利が尊重されるべきだとされる。
  2. 公衆衛生の問題
    中絶が合法でない場合、女性が安全でない非合法な中絶を行うリスクが高くなる。これにより、命に関わる健康問題が生じる可能性があり、中絶の合法化は安全な医療手段へのアクセスを確保することを目的としている。
  3. 社会的・経済的要因
    一部の女性は、経済的に不安定な状況や子供を育てる準備ができていない場合に中絶を選ぶことがある。これにより、育児に十分な資源や環境を提供できない場合の負担や、無責任な子育てを避けることができると主張されている。

中絶否定派の立場

  1. 生命の神聖さ
    中絶を否定する側は、生命は受胎の瞬間から始まると考えている。そのため、中絶は胎児の生命を奪う行為であり、道徳的に許されないとする。特に宗教的背景を持つ人々や倫理観の強い人々は、この視点を重要視している。マザー・テレサもこの立場を代表する人物であり、生命を守ることが人間の基本的な責務だと考えていた。
  2. 代替手段の存在
    中絶の代わりに、養子縁組などの手段を提案することもある。望まれない妊娠の場合でも、他の家族に子供を託すことで生命を守ることができると考えられている。これにより、胎児の権利と女性の選択を調和させることが可能だという主張がある。
  3. 倫理的問題
    中絶否定派は、胎児がすでに人権を持つ存在であり、その生命を奪うことは殺人と同じだとする倫理的主張を行うことが多い。この立場から見ると、中絶は人道的に見過ごすことのできない行為であり、いかなる場合でも避けられるべきだとされる。

補足に対する結論

中絶をめぐる論争は、生命の始まりに対する考え方や、女性の権利、社会的な責任に対する異なる視点に基づいている。マザー・テレサのように強く反対する人物もいれば、女性の自己決定権を尊重する立場の人々もいる。どちらの立場も、それぞれの価値観や倫理観に基づいており、簡単に一方が正しいと結論づけることは難しい。論争が続く背景には、個々の信念や文化的な要素、さらには法的・社会的な問題が複雑に絡み合っている。

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