「髭というものは白くなる前に、四十代で赤み掛かって来る、その頃でなくては、日本人では立派にはならないものだ」

森鴎外の名言・格言・警句(画像はイメージです)
森鴎外の名言・格言・警句(画像はイメージです)
  • 1862年2月17日~1922年7月9日(60歳没)
  • 日本出身
  • 小説家、評論家、翻訳家、軍医

原文

「髭というものは白くなる前に、四十代で赤み掛かって来る、その頃でなくては、日本人では立派にはならないものだ」

解説

この言葉は、人が成熟し、真に立派と認められるのは経験と年齢を重ねた頃であるという考えを、髭の変化になぞらえて述べたものである。髭が白くなる前、つまり壮年期の四十代で赤みを帯びる時期を、人間的成長の象徴として捉えている。ここでいう「立派」とは、単なる地位や名声ではなく、人間としての落ち着きや風格、判断力の備わった状態を指している。

背景には、当時の日本社会における年齢観がある。明治から大正期にかけて、若くして成功する者もいたが、多くの場合、社会的信用や責任ある地位は壮年以降に与えられた。鴎外自身も軍医や作家としての評価を確立したのは、豊富な経験を積んだ後であり、この観察には自身の実感も反映されていると考えられる。

現代においても、この言葉は若さや即戦力ばかりを重視する風潮への対抗的な視点として意味を持つ。キャリアや人格形成は時間をかけて熟成されるものであり、経験を通じて培われた落ち着きと信頼が、本当の意味で「立派」とされる基盤となることを教えている。

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