「棋というものが社交的遊戯になっている間は、危険なる思想が蔓延するなどという虞はあるまい」

森鴎外の名言・格言・警句(画像はイメージです)
森鴎外の名言・格言・警句(画像はイメージです)
  • 1862年2月17日~1922年7月9日(60歳没)
  • 日本出身
  • 小説家、評論家、翻訳家、軍医

原文

「棋というものが社交的遊戯になっている間は、危険なる思想が蔓延するなどという虞はあるまい」

解説

この言葉は、将棋や囲碁などの「棋」が社会において健全な娯楽として存在している限り、過激な思想や危険な考えが広がる心配はないという見解を示している。森鴎外は、棋が単なる競技や知的遊びとして楽しまれている間は、人々の関心が健全な交流や思考に向かい、社会不安を煽るような思想の温床にはならないと考えている。ここには、娯楽が社会の安定装置として機能するという視点がある。

この考えの背景には、明治から大正期にかけての社会状況がある。当時、日本は政治的変動や思想運動が活発化し、社会不安や過激思想の台頭が懸念されていた。一方で、囲碁や将棋は知識人から庶民まで広く親しまれ、世代や身分を越えて交流できる安全な社交の場としての役割を果たしていた。鴎外はその社会的効果を評価し、この言葉を残したと考えられる。

現代においても、この指摘は応用できる。スポーツやボードゲーム、趣味の活動などが健全な形で普及していれば、人々のエネルギーや時間が健全な競争や交流に向けられ、過激思想や有害行動に向かう余地は減る。娯楽や文化活動は単なる暇つぶしではなく、社会の安定に寄与する重要な要素であるというこの言葉は、今なお通用する洞察である。

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