「凡ての人為のものの無常の中で、最も大きい未来を有しているものの一つは、矢張科学であろう」

- 1862年2月17日~1922年7月9日(60歳没)
- 日本出身
- 小説家、評論家、翻訳家、軍医
原文
「凡ての人為のものの無常の中で、最も大きい未来を有しているものの一つは、矢張科学であろう」
解説
この言葉は、人間が作り出すあらゆるものは無常であるが、その中でも科学は最も将来性を持つ分野の一つであるという認識を示している。森鴎外は、制度や文化、社会構造などの人為的なものは変化し消滅していくが、科学は知識と技術の蓄積によって常に進歩し、未来を切り拓く力を持つと考えている。ここでの核心は、無常の中にあっても科学は発展を続ける特異な存在であるという視点である。
この発想の背景には、明治から大正期にかけての急速な西洋科学技術の導入がある。近代医学を学び、軍医として活動した鴎外は、科学の発展が社会や人々の生活に与える直接的な恩恵を実感していた。一方で、政治や思想は時代によって揺れ動き、長期的な安定や進歩が保証されにくいことも理解していたため、科学の蓄積的・普遍的な性質に強い信頼を置いていたと考えられる。
現代においても、この言葉は依然として妥当である。科学技術は環境問題や医療、通信、エネルギーなど多くの分野で未来を形作っており、その発展は社会の枠組みを変える原動力となっている。移ろいやすい人間社会の中で、継続的に未来を切り拓く手段としての科学の価値を強調するこの鴎外の見解は、時代を超えて説得力を持ち続けている。
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