「傍観者と云うものは、矢張多少人を馬鹿にしているに極まっていはしないか」

- 1862年2月17日~1922年7月9日(60歳没)
- 日本出身
- 小説家、評論家、翻訳家、軍医
原文
「傍観者と云うものは、矢張多少人を馬鹿にしているに極まっていはしないか」
解説
この言葉は、傍観者の心理の奥にある優越感や軽蔑の感情を指摘している。直接関与せずに外側から物事を眺める立場の人間は、当事者たちの行動や感情を「安全な距離」から見下す傾向がある。傍観者は冷静であるように見えるが、その冷静さはしばしば、自分は巻き込まれないという立場的安心感と、他者への無意識の軽視に支えられている。
歴史的にも、群衆心理や社会運動の中で、積極的に関わらず評論する人々は多く、その多くが「自分は彼らとは違う」という距離感を持つ。これは時に客観性をもたらすが、同時に共感や連帯感の欠如を生む原因にもなる。
現代においても、SNSやネット掲示板での「外野のコメント」に同じ構造が見られる。何かに関わらず批評や皮肉を述べることは容易だが、それは当事者の苦労や真剣さを軽んじる態度につながりやすい。この言葉は、傍観が必ずしも中立や無害ではなく、時に他者を見下す立場に立つ行為であることを警告している。
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