「どんなに巧みに組み立てた形而上学でも、一篇の抒情詩に等しいものだ」

森鴎外の名言・格言・警句(画像はイメージです)
森鴎外の名言・格言・警句(画像はイメージです)
  • 1862年2月17日~1922年7月9日(60歳没)
  • 日本出身
  • 小説家、評論家、翻訳家、軍医

原文

「どんなに巧みに組み立てた形而上学でも、一篇の抒情詩に等しいものだ」

解説

この言葉は、高度に構築された形而上学的体系も、結局は抒情詩と同じく人間の感情や主観から逃れられないという認識を示している。形而上学は哲学の中でも最も抽象的・普遍的な領域を扱い、理性による論理的構築が重視されるが、鴎外はその根底にも人間の情感や個人的な感受性が流れていると捉えている。

この考えの背景には、19世紀から20世紀初頭にかけての西洋哲学と文学の交流がある。当時の思想界では、哲学と文学を峻別するよりも、両者の間にある人間的な共通基盤が意識されつつあった。鴎外は、西洋哲学を日本に紹介する一方で、その学問的権威を絶対視せず、芸術的な価値や感性的側面を見抜いていた。

現代においても、この視点は有効である。科学的・論理的な理論であっても、人間が創り出す以上、そこには必ず価値観や感情が反映される。この言葉は、知の営みと感性の営みが切り離せないことを示し、純粋理性への過信を戒める警句として読むことができる。

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