「いかにせば人に乞うことなくして事足るべきか。他なし、只だ寡欲なれ」

- 1862年2月17日~1922年7月9日(60歳没)
- 日本出身
- 小説家、評論家、翻訳家、軍医
原文
「いかにせば人に乞うことなくして事足るべきか。他なし、只だ寡欲なれ」
解説
この言葉は、自立と欲望の抑制について端的に示している。人に頼らずに事を足すためにはどうすればよいか、その答えは「欲を少なくすること」にあるという。ここでの「乞うことなくして」とは、物質的な援助だけでなく、精神的な承認や過度な依存も含む広い意味を持つ。自らの欲望を減らすことが、真の独立の条件であると説いている。
森鴎外がこの考えを述べた背景には、明治期の急速な近代化と、それに伴う価値観の変化がある。当時、人々は欧米文化の影響を受け、生活水準や社会的地位の向上を求める欲望を強めていた。しかし、鴎外はその流れの中で、過剰な欲望が人を他者依存に追いやる危険を見抜いていた。寡欲は、物質的な貧しさではなく、精神的な豊かさを守る方法であると理解できる。
現代においても、この教えは有効である。消費社会では、新しい物や高い地位を求め続ければ、経済的にも精神的にも他者への依存が避けられない。しかし、欲望を抑え、自分にとって本当に必要なものを見極めれば、自由と自立を保ちながら満ち足りた生活を送ることができる。この姿勢は、持続可能な生き方やミニマリズムの理念にも通じる。
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