「海だと思っていたけれど おれが思っていたのは やっぱり光る山だったんだ」

宮沢賢治(画像はイメージです)
宮沢賢治(画像はイメージです)
  • 1896年8月27日~1933年9月21日(37歳没)
  • 日本出身
  • 詩人、童話作家、農業指導者

原文

「海だべがど おら おもたれば やっぱり光る山だたじゃい」

現代語訳

「海だと思っていたけれど おれが思っていたのは やっぱり光る山だったんだ」

解説

この言葉は、宮沢賢治の詩における方言表現の一節であり、彼の作品にしばしば見られる幻想と現実の交錯、そして自然に対する深いまなざしを象徴している。「海」と「山」という二つの象徴は、しばしば無限と超越、あるいは期待と錯覚を対比的に描くために用いられる。ここでは、遠くに見えた光のかたまりを海と誤認していたが、実は山だったという視覚的錯覚の告白がされている。

しかし、単なる風景描写にとどまらず、これは認識や価値観の転換を象徴する文としても読むことができる。「海だと思っていたものが、実は山だった」という発見には、自らの思い込みを越えて真実に至る驚きと、それでもなお美しく輝いている自然の姿への感動が込められている。特に「光る山」とは、神聖性や理想、あるいは賢治自身の信仰的ビジョンとも結びついて解釈される。

この一節は、現代に生きる私たちにも「先入観を捨てて、ありのままを見る」ことの大切さを教えてくれる。人生において、遠くに見える希望や理想が実際には別の姿をしていることがあるが、それでもそれが美しく尊いものであるという発見の喜びを、この一言が静かに語っているのである。

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