「僕もうあんな大きな暗の中だってこわくない。きっとみんなのほんとうのさいわいをさがしに行く」

宮沢賢治(画像はイメージです)
宮沢賢治(画像はイメージです)
  • 1896年8月27日~1933年9月21日(37歳没)
  • 日本出身
  • 詩人、童話作家、農業指導者

原文

「僕もうあんな大きな暗の中だってこわくない。きっとみんなのほんとうのさいわいをさがしに行く」

解説

この言葉は、宮沢賢治の童話『銀河鉄道の夜』において、主人公ジョバンニが旅の終盤に見せる内的な成長と決意を象徴する台詞である。ここで語られる「暗」は、死や孤独、未知の世界を象徴しており、それに対して「こわくない」と言い切る姿には、恐怖を乗り越えた精神的な成熟が感じられる。そしてその先にあるのが、「みんなのほんとうのさいわい」という、自己を超えた他者への献身的な願いである。

「ほんとうのさいわい」という言葉は、賢治作品全体を貫く重要なテーマであり、それは一時的な快楽や物質的な満足ではなく、魂の安らぎや、他者と分かち合う善きものを意味する。この一節では、ジョバンニが個人的な幸福を超えて、他者の幸福を探し求める使命を自らに課している。それは、まさに賢治自身が人生を通して追い続けた「利他」の精神そのものである。

現代に生きる私たちにとっても、この言葉は大きな意味を持つ。不安や困難、死の影が差すようなときでも、他者の幸福のために歩み続ける勇気は、今なお求められる人間の理想である。恐れず、灯を探し続ける姿勢こそが、暗闇の中で光を見出す鍵であると、この一言が静かに教えてくれている。

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