「世界がぜんたい幸福にならないうちは個人の幸福はあり得ない」

- 1896年8月27日~1933年9月21日(37歳没)
- 日本出身
- 詩人、童話作家、農業指導者
原文
「世界がぜんたい幸福にならないうちは個人の幸福はあり得ない」
解説
この言葉は、宮沢賢治が理想とした全体性の倫理観と利他主義的な生き方を端的に表したものである。個人の幸福は他者の不幸の上に成り立ってはならず、社会全体、世界全体の調和と幸福が前提であるという思想が読み取れる。このような考え方は、仏教的な縁起思想(すべての存在はつながっている)と深く結びついており、賢治の信仰と実践の根底をなすものであった。
この名言はまた、彼の社会活動や農村支援、教育への献身とも一致する。彼は、自分だけが満たされていても意味がないと考え、他者の幸福のために行動することこそが真の幸福だと信じていた。「農民芸術概論綱要」や「羅須地人協会」での活動も、この思想の具現である。幸福を個人の内面的状態や物質的満足に限定せず、それを広く社会的な責任と結びつける賢治の視座は、非常に先進的である。
現代においてこの言葉は、貧困、戦争、環境破壊といった地球規模の課題に対して、個人が無関係ではいられないことを示している。グローバル社会に生きる私たちにとって、自分だけの幸せを追い求めるのではなく、他者の幸福に関心を持つことの重要性を再認識させる一言である。共感と連帯の倫理こそが、この名言の核心にある。
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