「横にいそうな奴が出てくるものは観たくないですね」

- 1941年1月5日~
- 日本出身
- アニメーション監督、映画監督、脚本家、スタジオジブリ共同創設者
原文
「横にいそうな奴が出てくるものは観たくないですね」
出典
解説
この言葉は、作品に登場する人物に対し、凡庸で現実の延長にあるだけのキャラクターでは魅力がないという考えを示している。宮崎駿は、アニメーションにおける人物造形は日常の単なる写しではなく、想像力によって拡張された人間像であるべきだと考えていた。観客が現実で出会うような人物ではなく、その人物の存在によって世界観が立ち上がるようなキャラクターを描くことが、物語の生命線であるという姿勢が表れている。
この思想は、1980年代から90年代にかけてのアニメ制作環境に起因している。当時の宮崎は、日常の延長線上でしか描かれないキャラクターの増加に違和感を抱き、「アニメは虚構の世界だからこそ、現実を超える人物を描けるはずだ」という信念を持っていた。たとえばナウシカやシータ、サンといった主人公たちは、現代社会にそのまま存在しうる人物ではなく、人間の理想や葛藤を体現する象徴的な存在として描かれている。
現代社会においても、映像や物語に求められるものは単なる写実ではない。視聴者が見たことのない人物や価値観に触れることで、自分の枠を超える想像力を刺激される可能性がある。宮崎はこの言葉を通して、創作とは現実の模倣ではなく、世界の可能性を拡張する行為であると示している。だからこそ、横にいそうな人物ではなく、その存在自体が世界を変えるような人物を描くことに意味があるのである。
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