「僕らはエンターテインメントで、過半数のお客様が満足してくれるものを作んなきゃいけないという責務があってやってることです」

• 1941年1月5日～
• 日本出身
• アニメーション監督、映画監督、脚本家、スタジオジブリ共同創設者

原文

「僕らはエンターテインメントで、過半数のお客様が満足してくれるものを作んなきゃいけないという責務があってやってることです」

出典

続・風の帰る場所 映画監督・宮崎駿はいかに始まり、いかに幕を引いたのか

解説

この言葉には、エンターテインメントを作る者としての責任と覚悟が示されている。作品とは単なる自己表現ではなく、観客との対話であり、見た人に満足や感動を届ける使命があるという意識が込められている。創作の自由よりも、まず観客を思う姿勢を優先している点が重要である。

宮崎の作品群は芸術性を持ちながらも、多くの人々に愛されてきた。それは、彼が常に「大衆に届く形で本物を描く」という姿勢を貫いたからである。エンターテインメントを軽く捉えるのではなく、人々の心に影響を与える力を持つ社会的営みと考えている。この言葉の背景には、作り手が孤高に走るのではなく、観客の存在を見据えた上で創造するべきだという倫理観がある。

現代社会では個人の表現が尊重される一方で、観客を置き去りにした作品も増えている。宮崎はその流れに対し、多数の人に届きうる表現こそがエンターテインメントの本質であると示す。過半数の満足を目指すというのは妥協ではなく、むしろ多くの人を巻き込みながら表現の深みに到達する挑戦である。この言葉は、創作者が社会と真摯に向き合う姿勢を忘れてはならないという警鐘である。

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