「今はもうすっかり泥まみれになってしまった、愛とか正義とか友情とか、なんか自分が生きてきたことを肯定してくれるものを本気で喋ってくれないかなあって、みんな待ってるんだと思いますね」

宮崎駿
  • 1941年1月5日~
  • 日本出身
  • アニメーション監督、映画監督、脚本家、スタジオジブリ共同創設者

原文

「今はもうすっかり泥まみれになってしまった、愛とか正義とか友情とか、なんか自分が生きてきたことを肯定してくれるものを本気で喋ってくれないかなあって、みんな待ってるんだと思いますね」

出典

風の帰る場所 ナウシカから千尋までの軌跡

解説

この言葉は、宮崎駿が現代社会における価値の喪失と再生への願望を語ったものといえる。愛・正義・友情といった本来人間を支えるはずの概念が、俗化・商業化によって「泥まみれ」になってしまったと感じている。しかし人々はそれらが再び真剣に語られる瞬間を待っているという希望も同時に示している。

この視点は、価値観が軽んじられがちな時代背景を反映している。情報が溢れ、言葉の強度が失われた現代では、愛や正義を真正面から語ることは嘲笑や拒絶の対象になりやすい。しかし宮崎駿は、そうした状況を承知の上で、人々の内側には依然として肯定を求める声が残っていると見ている。その声に応える表現こそ、創作の使命であるという姿勢が感じられる。

この名言は、陳腐化した言葉ではなく、真剣さを伴った言葉の回復を求めている。表面的ではなく、リアルな人生経験や苦しみの中から語られる愛・友情こそ、人間の心を支える力となる。宮崎駿は、そのような言葉や物語を世に届けることを目指しており、これこそが創作の存在意義であるという強い信念が読み取れる。

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