「その物理的な迫害とか物質的な窮乏がないと、人というのは結局は健康に生きられないのかっていうね」

宮崎駿
  • 1941年1月5日~
  • 日本出身
  • アニメーション監督、映画監督、脚本家、スタジオジブリ共同創設者

原文

「その物理的な迫害とか物質的な窮乏がないと、人というのは結局は健康に生きられないのかっていうね」

出典

風の帰る場所 ナウシカから千尋までの軌跡

解説

この言葉は、宮崎駿が人間の生き方と環境との関係について疑問を投げかけたものである。物理的な迫害や物質的な窮乏といった苦しい状況がなければ、人は真に健康に生きられないのか――という問いには、人間が甘やかされた環境では鈍化してしまうという懸念が込められている。

宮崎駿の作品には、厳しい自然環境や社会の圧力の中で生きる人物が多く登場する。それは単なる試練の描写ではなく、人間の生命力が極限状況でこそ発揮されるという観察に基づいている。時代背景として、豊かさと引き換えに失われた感覚・倫理・生きる意志への問いでもあり、現代社会に対する批判的視点が見られる。

この名言は、苦しみや困難を肯定するのではなく、人間がどうすれば本来の力で生きられるのかを問う出発点となっている。人間の健康とは単なる肉体的な状態ではなく、生きようとする意思の強さにも関わるものだという考え方である。安定と快適さだけでは人は生きる意味を見失う可能性があるという視点は、社会や教育における重要な問いを含んでいる。

感想はコメント欄へ

この名言に触れて、あなたの感想や名言に関する話などを是非コメント欄に書いてみませんか?

「宮崎駿」の前後の名言へ


申し込む
注目する
guest

0 Comments
最も古い
最も新しい 高評価
インラインフィードバック
すべてのコメントを見る