「この身一つで生きるにあたり、美味を好まない」

- 1584年頃~1645年6月13日
- 日本出身
- 剣豪、兵法家、芸術家
原文
「身ひとつに美食をこのます」
現代語訳
「この身一つで生きるにあたり、美味を好まない」
解説
この言葉は『独行道』に収められており、宮本武蔵が食に対する欲望を抑え、質素を旨とする生き方を貫いたことを表している。「身ひとつ」とは、この身体ひとつで生きる武士としての潔さや自立心を示し、「美食をこのます(好まない)」とは、味覚の快楽に溺れず、節制を貫く態度を意味する。つまり、食を欲望の対象ではなく、生を支える手段と捉えた姿勢がここに現れている。
武蔵は兵法者として、いつでも戦いに臨める精神と肉体を維持する必要があった。美食への執着は心身を鈍らせ、油断や堕落を生むと考え、日常生活においても慎ましさを保ち続けた。彼の剛毅で無駄のない生き方は、欲を制することこそが武の道の根幹であるという思想に支えられていた。
現代においても、過剰な快楽や消費に傾きやすい生活の中で、必要な分だけを取り、余計な欲を抑えるという姿勢は心身の健やかさに通じる。武蔵のこの言葉は、自己を律し、目的に集中するためには日常の些細なことにこそ心を配るべきという教訓を静かに伝えている。食もまた、道を守る一部であるという厳しいが清廉な思想である。
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