「武具は別として、世間一般の道具を嗜まない」

- 1584年頃~1645年6月13日
- 日本出身
- 剣豪、兵法家、芸術家
原文
「兵具は格別よの道具たしなます」
現代語訳
「武具は別として、世間一般の道具を嗜まない」
解説
この言葉は『独行道』に記されたものであり、宮本武蔵が兵法者として必要な「兵具(武具)」は用いるが、それ以外の世俗的な道具には親しみを持たないという態度を表している。「兵具は格別」とあるように、剣や槍、弓などの兵器は例外として認め、「よの道具たしなます(世の道具を嗜まない)」とは、贅沢品や娯楽的な道具など、実用以上の価値を求める道具を避けるという意味である。
この言葉は、武蔵の徹底した実用主義と精神の潔さを示している。彼にとって道具とは、あくまでも目的のために使うものであり、飾るためでも誇るためでもない。兵具であれば修練や戦いのために不可欠だが、それ以外の華美な調度や芸事の道具は、己の「道」には不要であると見なしていた。この考えは、武士の精神的自立と節制の表れでもある。
現代社会でも、多くの人が便利さや趣味、見栄のためにさまざまな道具やガジェットを手に入れがちだが、武蔵のこの言葉は、本当に必要なものを見極め、それ以外には深入りしないという潔い姿勢を教えてくれる。自らの目的や信念に照らして物を選ぶという価値観は、今なお有効な指針となり得るだろう。
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