「近代ヒューマニズムを完全に克服する最初の文学はSFではないか」

- 1925年1月14日~1970年11月25日
- 日本出身
- 小説家、劇作家、評論家、政治活動家
- 『仮面の告白』『金閣寺』などで戦後日本文学を代表する存在となり、国内外で高い評価を得た。美と死を主題に独自の美学を追求し、最期は自衛隊駐屯地で割腹自殺を遂げた。文学と行動を一致させた生き様で今なお強い影響を与えている。
原文
「近代ヒューマニズムを完全に克服する最初の文学はSFではないか」
解説
この言葉は、三島由紀夫が近代ヒューマニズムと文学の未来について独自の視点を示したものである。人間中心主義に立脚する近代ヒューマニズムを、本質的に超越し、全く新しい世界観を打ち立てる文学こそがSF(サイエンス・フィクション)なのではないかという認識が語られている。ここでは、人間を絶対視する思想からの離脱と、文学の革新可能性が鋭く提示されている。
三島は、人間中心の理想主義や道徳観が支配する近代社会に強い疑念を抱いていた。そして、SFというジャンルが、科学技術や未知の存在を通して、人間の特権性や絶対性を相対化し、破壊する力を持っていることに着目した。この言葉は、三島が持っていた文学に対する根源的な刷新欲求と、人間存在そのものを問い直す勇気を象徴している。
現代においても、この洞察は鋭く響く。たとえば、SF作品は今や、ポストヒューマン、人工知能、宇宙生命といったテーマを通じて、人間中心主義を批判し、まったく新しい存在論を模索する場となっている。三島のこの言葉は、文学が人間存在を超えて世界を捉え直すべき時代が到来しているという静かでありながらも力強い予言を、私たちに投げかけているのである。
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