「血も花も、枯れやすく変質しやすい点でよく似ている」
- 1925年1月14日～1970年11月25日
- 日本出身
- 小説家、劇作家、評論家、政治活動家
- 『仮面の告白』『金閣寺』などで戦後日本文学を代表する存在となり、国内外で高い評価を得た。美と死を主題に独自の美学を追求し、最期は自衛隊駐屯地で割腹自殺を遂げた。文学と行動を一致させた生き様で今なお強い影響を与えている。
原文
「血も花も、枯れやすく変質しやすい点でよく似ている」
解説
この言葉は、三島由紀夫が生命の儚さと変容の性質を詩的に表現したものである。血も花も、ともに生の象徴でありながら、極めて脆く、時間と共に容易に枯れ、変質してしまう存在であるという認識が示されている。ここでは、生命の輝きが持つ刹那的な美しさと、その避けがたい衰退が語られている。
三島は、血を情熱や生命力の象徴として、花を美と儚さの象徴として捉え、そのどちらも永続しない宿命を負っていることを見抜いていた。どれほど鮮烈であっても、血も花もすぐに枯れ、変わり果てる。この言葉は、三島が持っていた生と死、美と滅びを一体のものとして見つめる鋭い美学を象徴している。
現代においても、この洞察は深い意味を持つ。たとえば、情熱や若さ、美しさにしがみつこうとする一方で、それらが避けがたく失われていく現実を受け入れざるを得ない人間の姿は、まさに三島の指摘する「血と花の儚さ」に重なる。生の一瞬の輝きこそがかけがえなく、その滅びもまた生の本質である。
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