「花作りというものにはみんな復讐の匂いがする」

- 1925年1月14日~1970年11月25日
- 日本出身
- 小説家、劇作家、評論家、政治活動家
原文
「花作りというものにはみんな復讐の匂いがする」
解説
この言葉は、三島由紀夫が花を育てるという行為に潜む人間の深層心理を鋭く洞察したものである。一見、純粋で平和的に見える花作りの行為も、実は自然に対する人間の支配欲や復讐心を含んでいるという認識が示されている。ここでは、自然本来の無秩序に対して、人間が人工的な秩序や美を押しつけることへの根源的な暴力性が語られている。
三島は、花を作る行為とは、単なる自然の賛美ではなく、自然を意のままに操り、自己の美意識に従わせようとする一種の征服行為であると捉えた。美を追求する過程には、無意識のうちに自然を屈服させる欲望が潜み、それが復讐の匂いとなって漂うのである。この言葉は、三島が持っていた人間の文化活動における隠された攻撃性への鋭い直観を象徴している。
現代においても、この洞察は生きている。たとえば、都市開発や環境改造に見られるように、人間は自然を愛すると同時に制圧しようとする矛盾した欲望を持ち続けている。美を作り出す行為の奥底には、必ず支配と対抗の意志が潜んでいるのだ。
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