「自分の持たないものの悪口は言いやすい」
- 1925年1月14日～1970年11月25日
- 日本出身
- 小説家、劇作家、評論家、政治活動家
- 『仮面の告白』『金閣寺』などで戦後日本文学を代表する存在となり、国内外で高い評価を得た。美と死を主題に独自の美学を追求し、最期は自衛隊駐屯地で割腹自殺を遂げた。文学と行動を一致させた生き様で今なお強い影響を与えている。
原文
「自分の持たないものの悪口は言いやすい」
解説
この言葉は、三島由紀夫が人間の心理に潜む卑小さと自己欺瞞を鋭く描き出したものである。人は、自分にないもの、理解できないものに対して、嫉妬や無関心から安易に批判や軽蔑を向けやすいという認識が示されている。ここでは、自己の欠如を隠すために、他者を貶めることで安堵を得ようとする小さな心理が語られている。
三島は、他者の才能や美点に対して、真に尊敬や理解を示すには、自らの欠落や限界を受け入れる謙虚さが必要であると考えていた。持たないものを貶す行為は、結局は自己の劣等感や敗北感を映し出すだけであり、精神の貧しさを露呈する。この言葉は、三島が持っていた自己認識と他者認識を厳しく律する美学を象徴している。
現代においても、この洞察は痛切である。たとえば、SNSや日常生活で、他人の成功や資質に対して安易な批判や中傷が飛び交う現象はまさにこの構造を示している。持たないことを恥じるのではなく、持たないものへの敬意を通して自らを高めよ。
感想はコメント欄へ
この名言に触れて、あなたの感想や名言に関する話などを是非コメント欄に書いてみませんか？
申し込む
0 Comments
最も古い