「母親に母の日を忘れさすこと、これ親孝行の最たるものといえようか」

- 1925年1月14日~1970年11月25日
- 日本出身
- 小説家、劇作家、評論家、政治活動家
- 『仮面の告白』『金閣寺』などで戦後日本文学を代表する存在となり、国内外で高い評価を得た。美と死を主題に独自の美学を追求し、最期は自衛隊駐屯地で割腹自殺を遂げた。文学と行動を一致させた生き様で今なお強い影響を与えている。
原文
「母親に母の日を忘れさすこと、これ親孝行の最たるものといえようか」
解説
この言葉は、三島由紀夫が親子関係における真の愛情と形式的な孝行について鋭く洞察したものである。表面的な感謝や祝福ではなく、日常の中で自然に満たされる愛情こそが、最も本質的な親孝行であるという認識が示されている。ここでは、特別な日に感謝を強調しなければならない関係の貧しさと、自然体で生きる温かい親子関係が語られている。
三島は、母の日のような記念日に頼ることなく、日常の中で常に母親が愛情と尊敬を感じていれば、あえて特別な日を必要としないと考えた。つまり、最上の親孝行とは、母親が「母の日」という区切りを意識せずに済むほど、普段から心が満たされている状態をつくることなのである。この言葉は、三島が持っていた形式よりも本質を重んじる精神と、愛情の自然なあり方への深い理解を象徴している。
現代においても、この考え方は示唆に富む。たとえば、社会的に用意された「感謝の日」に頼るのではなく、普段から親への思いやりや尊重を自然に示す生き方こそが、より深い絆を育むだろう。愛とは記念日にあらわれるものではなく、日々のふるまいの中にこそ宿るのだ。
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