「新しさが『発見』であるとするならば、発見ほど既存を強く意識させるものはない筈だ」

- 1925年1月14日~1970年11月25日
- 日本出身
- 小説家、劇作家、評論家、政治活動家
原文
「新しさが『発見』であるとするならば、発見ほど既存を強く意識させるものはない筈だ」
解説
この言葉は、三島由紀夫が新しさと既存との本質的な関係を鋭く捉えたものである。何かを「発見」するという行為は、単に新しいものを生み出すことではなく、すでに存在しているものを強く意識し、それとの関係性を再認識する過程に他ならないという指摘である。ここでは、新しいものとは、むしろ古いものの存在を際立たせる働きを持つという逆説が示されている。
三島は、戦後の急速な文化刷新や西洋化の中で、伝統や過去を軽視する風潮に強い疑問を抱いていた。新しい価値や表現を追い求めること自体を否定せずとも、彼は、真の革新とは過去を深く意識することでしか成し得ないと考えていたのである。この言葉は、三島の伝統と革新を対立ではなく緊張関係として捉える独自の美学をよく表している。
現代においても、この洞察は重要である。たとえば、テクノロジーや芸術の分野においても、新しい表現は必ず過去の蓄積との対話の中から生まれる。三島のこの指摘は、革新を志す者に対し、無批判な新しさではなく、既存を深く理解し敬意を払うことの必要性を訴えかけるものであり、創造の本質を見つめ直す強い示唆を与えている。
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