「政治とは他人の憎悪を理解する能力なんだよ。この世を動かしている百千百万の憎悪の歯車を利用して、それで世間を動かすことなんだよ」

- 1925年1月14日~1970年11月25日
- 日本出身
- 小説家、劇作家、評論家、政治活動家
- 『仮面の告白』『金閣寺』などで戦後日本文学を代表する存在となり、国内外で高い評価を得た。美と死を主題に独自の美学を追求し、最期は自衛隊駐屯地で割腹自殺を遂げた。文学と行動を一致させた生き様で今なお強い影響を与えている。
原文
「政治とは他人の憎悪を理解する能力なんだよ。この世を動かしている百千百万の憎悪の歯車を利用して、それで世間を動かすことなんだよ」
解説
この言葉は、三島由紀夫が政治の本質を冷酷なまでに見抜いた鋭い認識を示している。政治とは理念や正義を追求するものではなく、人間のなかに渦巻く無数の憎悪を理解し、それを操作し利用することで社会を動かしていく技術であるという認識が示されている。ここでは、社会を動かすのは善意ではなく、むしろ憎悪や対立のエネルギーであるという厳しい現実が語られている。
三島は、政治を美化することを拒み、人間の感情の暗黒面を直視する力こそが政治的手腕の本質だと考えた。憎悪は破壊的でありながらも、強烈なエネルギー源となり、これを的確に把握し活用できる者だけが政治を動かすことができる。この言葉は、三島が持っていた人間の情念に対する深い洞察と、理想と現実の間に引かれる冷酷な線を象徴している。
現代においても、この洞察は痛烈である。たとえば、政治的分断が顕著な社会において、憎悪や恐怖を煽ることで支持を得る手法が数多く見られる。政治とは理想を掲げるだけではなく、人間の持つ暗い力を理解し、それに正面から向き合う覚悟を持つ者だけが成し遂げられる。
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