「好奇心には道徳がないのである。もしかするとそれは人間のもちうるもっとも不徳な欲望かもしれない」

- 1925年1月14日~1970年11月25日
- 日本出身
- 小説家、劇作家、評論家、政治活動家
原文
「好奇心には道徳がないのである。もしかするとそれは人間のもちうるもっとも不徳な欲望かもしれない」
解説
この言葉は、三島由紀夫が好奇心の本質とその倫理的な無関心さを鋭く指摘したものである。好奇心はしばしば人間の成長や探求心の源泉とされるが、三島はむしろ、好奇心は対象の善悪を問わず、ただ知りたいという欲望のままに突き進むものであり、その点で極めて不徳な性質を持つと認識している。ここでは、人間の欲望のなかでもっとも無邪気に見えながら、実は道徳から最も遠い衝動が語られている。
三島は、好奇心が時として他者の痛みや秘密を暴き立てる行為に転じ、モラルを踏みにじる危険性を強く意識していた。知りたいという純粋な欲望は、結果として破壊的な影響を及ぼすこともあるため、無垢に賛美されるべきものではないという冷徹なまなざしを持っていた。この言葉は、三島が抱いていた人間の無意識の欲望への厳しい批評精神を象徴している。
現代においても、この洞察は非常に鋭い意味を持つ。たとえば、メディアやインターネットにおいて、人々の好奇心を煽るためにプライバシーが侵害されたり、倫理を無視した情報の拡散が行われることは珍しくない。好奇心の力を認めつつも、それが倫理を超えて暴走する危うさを自覚すべきである。
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