「女の美しさが、男の一番醜い欲望とじかにつながっている、ということほど、女にとって侮辱はないわ」

• 1925年1月14日～1970年11月25日
• 日本出身
• 小説家、劇作家、評論家、政治活動家

原文

「女の美しさが、男の一番醜い欲望とじかにつながっている、ということほど、女にとって侮辱はないわ」

解説

この言葉は、三島由紀夫が女性の美に対する男性側の欲望のあり方を、女性の視点から鋭く告発したものである。女性にとって、自らの美しさが、男のもっとも低俗で醜悪な欲望に直結して受け取られることほど屈辱的なことはない、という強い憤りが示されている。ここでは、美の尊厳が歪められ、貶められる構造が痛烈に暴かれている。

三島は、美に対して一貫して崇高な価値を置いており、美は本来、精神的な高みや理念と結びつくべきものと考えていた。しかし現実には、特に女性の美が単なる欲望の対象に貶められる社会的状況を鋭く見抜いていた。この言葉は、三島が持っていた美に対する純粋な敬意と、それを蹂躙する現実への深い憤りを象徴している。

現代においても、この指摘は変わらぬ重みを持つ。たとえば、広告やメディアの中で、女性の美が消費され、しばしば性的対象としてのみ扱われる現象は依然として存在している。三島のこの言葉は、美とは本来、人間存在の尊厳と結びついているべきものであり、欲望の道具に貶めてはならないという厳粛な警鐘を、静かに、しかし力強く鳴らしているのである。

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