「今夜が最後と思えば、話なんていくらだってあります」

- 1925年1月14日~1970年11月25日
- 日本出身
- 小説家、劇作家、評論家、政治活動家
原文
「今夜が最後と思えば、話なんていくらだってあります」
解説
この言葉は、三島由紀夫が人間関係と時間意識の本質的な結びつきを鋭く描き出したものである。もし今夜が人生最後の夜だと感じるなら、普段は言葉にしない思いや、伝えそびれていた感情が次々とあふれ出てくるという認識が示されている。ここでは、限られた時間の重みが、人間の心を解き放ち、深い対話を生むという真理が語られている。
三島は、日常において人は無限に時間があるかのような錯覚に陥り、本当に伝えるべきことを後回しにしがちであると見抜いていた。しかし、死という現実を目前に意識したとき、沈黙していた言葉や隠していた感情が堰を切ったように流れ出す。この言葉は、三島が持っていた生と死を見つめたうえで今この瞬間を最大限に生きるべきだという緊張感と誠実さを象徴している。
現代においても、この洞察は切実な意味を持つ。たとえば、日常の忙しさに流されるなかで、本当に大切な人に何も伝えられないまま別れが訪れることは少なくない。三島のこの言葉は、今この瞬間が最後かもしれないという覚悟をもって、人と向き合い、語り合うことの大切さを静かでありながらも力強い真理として私たちに伝えているのである。
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