「われわれが住んでいる時代は政治が歴史を風化してゆくまれな時代である」

- 1925年1月14日~1970年11月25日
- 日本出身
- 小説家、劇作家、評論家、政治活動家
原文
「われわれが住んでいる時代は政治が歴史を風化してゆくまれな時代である」
解説
この言葉は、三島由紀夫が現代における政治の本質と歴史意識の変質を鋭く見抜いたものである。かつて政治は歴史を作り出すものであったが、現代では政治がかえって歴史を空洞化し、過去の重みを失わせる役割を果たしていると三島は指摘している。ここでは、政治による歴史の希薄化、忘却の作用が問題視されている。
三島は、歴史を単なる過去の記録ではなく、人間存在に対する深い重力として捉えていた。しかし現代においては、政治が即興的で表層的な営みとなり、深い歴史的連続性を切断してしまっている。つまり、本来歴史が持つべき畏敬や責任感が、日々の政治的な小競り合いによって風化し、歴史そのものが軽んじられているということである。この言葉は、三島が持っていた歴史と政治の本質に対する強烈な危機感を象徴している。
現代においても、この指摘は鋭い現実を突いている。例えば、短期的な人気取りに終始する政治や、過去の教訓を軽視する風潮は、社会全体の歴史意識を希薄にし、未来への責任感を失わせる。政治が歴史を積み重ねる営みであることを忘れたとき、文明は静かに自壊を始めるのだ。
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