「自伝的小説というものは存在しないと私は思います。私が『起こった』と言えば、それは本当に起こったのです。たとえそれが私の心の中だけであったとしても」

- 1928年4月4日~2014年5月28日(86歳没)
- アメリカ合衆国出身
- 詩人、作家、歌手、舞台俳優、公民権運動活動家
英文
”I don’t think there’s such a thing as autobiographical fiction. If I say it happened, it happened, even if only in my mind.”
日本語訳
「自伝的小説というものは存在しないと私は思います。私が『起こった』と言えば、それは本当に起こったのです。たとえそれが私の心の中だけであったとしても」
解説
この言葉は、マヤ・アンジェロウが記憶と真実、文学表現の関係を語ったものである。彼女は、自伝的要素を含む作品が「事実」と「虚構」の境界で揺れることを否定し、心の中で経験したこともまた真実であると主張している。ここで示されるのは、心理的・感情的な体験の現実性であり、それが文学においては事実と同じ重みを持つという考え方である。
アンジェロウは『I Know Why the Caged Bird Sings』をはじめとする自伝的作品で知られるが、その中には必ずしも外的事実に基づかない要素も含まれている。しかし彼女にとって重要なのは、出来事そのものではなく、それがどのように記憶され、語られるかであった。つまり、心に刻まれた体験は「虚構」ではなく、内的な真実として立ち上がる。
現代においても、この名言は文学や表現における「事実」と「真実」の違いを考える上で示唆に富む。作家や芸術家が描く物語は、必ずしも客観的事実ではなくても、体験の本質を語り得る。アンジェロウの言葉は、心の中で経験した出来事もまた真実であり、文学はその真実を伝える手段であると教えているのである。
感想はコメント欄へ
この名言に触れて、あなたの感想や名言に関する話などを是非コメント欄に書いてみませんか?
「マヤ・アンジェロウ」の前後の名言へ
申し込む
0 Comments
最も古い