「自分の感情だけで値段を決めてはいけない、みんなが汗水たらしてつくってくれたものだから、その人たちの努力というものを、自分の一存で左右するということは許されない」

- 1894年11月27日~1989年4月27日(94歳没)
- 日本出身
- 実業家、発明家、パナソニック(松下電器産業)創業者、「経営の神様」
原文
「自分の感情だけで値段を決めてはいけない、みんなが汗水たらしてつくってくれたものだから、その人たちの努力というものを、自分の一存で左右するということは許されない」
出典
商売心得帖
解説
この言葉は、商品の価格設定における責任と配慮の重要性を説いている。値段というものは、単に販売戦略や競争の中で決めるべき数字ではなく、その背後には製品を作った多くの人々の努力や誠意があることを忘れてはならない。感情や気分によって安易に値引きをするなどの行為は、そうした人々の仕事を軽んじることにつながるという厳しい自戒である。
このような発想は、松下幸之助が経営を単なる利潤追求ではなく、人間尊重と社会貢献の道ととらえていたことに通じている。戦後の混乱期にあっても、彼は商品を「人の努力の結晶」と見なし、粗末に扱うことを嫌った。価格の背後には、設計者、工場作業員、物流担当者など、数えきれない労働の積み重ねがある。だからこそ、経営者や販売担当者はその重みを理解し、公平で誠実な価格設定を行うべきだと説いているのである。
現代においてもこの姿勢は通用する。たとえば、安易なセールや値下げ合戦が続けば、最終的には品質低下や労働環境の悪化を招く可能性がある。価格は、製品やサービスの価値、そして関わる人々の仕事に対する「敬意」の表れでもある。経営に携わる者は、この言葉を指針として、感情ではなく責任と理性をもって価格を決定すべきである。
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