「私の場合、この人だったらだいたい六十パーセントぐらいいけそうだと思ったら、もう適任者として決めてしまう。そうすると、結構うまくいく場合が多い」

松下幸之助
松下幸之助(画像はイメージです)
  • 1894年11月27日~1989年4月27日(94歳没)
  • 日本出身
  • 実業家、発明家、パナソニック(松下電器産業)創業者、「経営の神様」

原文

「私の場合、この人だったらだいたい六十パーセントぐらいいけそうだと思ったら、もう適任者として決めてしまう。そうすると、結構うまくいく場合が多い」

出典

人を活かす経営

解説

この言葉は、人物を評価し任用する際に完全無欠な条件を求めすぎないという実践的な考え方を示している。人材の選抜においては、すべての条件を満たす完璧な人を探そうとすると決断が遅れ、機会を逃すことになりかねない。それよりも、ある程度の確度があれば、信頼して任せるという思い切りが大切であるという主張である。

松下幸之助がこのように述べる背景には、人間は任せられることによって育ち、また責任をもつことで力を発揮するという信念がある。たとえ六割の見込みであっても、適材として判断し、実際に任せてみることで人が成長し、結果的にうまくいくことが多いという経験則に基づいている。この発想は、過度な理詰めの人事管理ではなく、経験と人間観察に根ざした柔軟なリーダーシップの表れといえる。

現代の人材活用においても、完璧なスキルセットを備えた人材が常に見つかるとは限らない。むしろ、ポテンシャルと信頼感を重視して登用し、育てながら成功へ導くことが重要である。形式的な評価基準よりも、人物の可能性と信頼を見極めて判断する胆力が、指導者には求められるのである。

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