「瞬間を争う大事な事柄を報告するいわば非常の場合に、何としてもまず直接の上司に言わねばならないんだとか、やはり組織を通じて処理しなければ叱られるんだとか言っていたのでは、競争に負けてしまうというようなことにもなろう」

- 1894年11月27日~1989年4月27日(94歳没)
- 日本出身
- 実業家、発明家、パナソニック(松下電器産業)創業者、「経営の神様」
原文
「瞬間を争う大事な事柄を報告するいわば非常の場合に、何としてもまず直接の上司に言わねばならないんだとか、やはり組織を通じて処理しなければ叱られるんだとか言っていたのでは、競争に負けてしまうというようなことにもなろう」
出典
社員心得帖
解説
この言葉は、非常時には形式や組織の手順にとらわれず、迅速な判断と行動を優先すべきであるという教えである。日常的には上司への報告や組織の手続きを踏むことが正しいが、緊急事態においてはそれがかえって遅れを生み、致命的な失敗につながる。松下幸之助は、状況に応じた柔軟さと即応力の重要性を説いている。
背景には、松下が経営者として数々の競争や危機を経験した現実がある。市場や経済の変動は時に瞬間的な判断を要求し、マニュアル通りでは対応できない局面が多くあった。彼は、組織の秩序を守ることと非常時に即断即決を下すことの両立が、企業を生き残らせるために不可欠であると考えていた。
現代においても、この考えは適用できる。たとえばITのセキュリティ事故や災害対応において、報告ルートにこだわって行動が遅れれば被害は拡大する。逆に、担当者が即座に判断し対応することで危機を防ぐことができる。つまり、組織人としての規律を保ちつつも、非常時には形式を超えて迅速に動く柔軟さが求められるのである。
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