「三年も儲かったら、その明けの年もまた儲かるかというと、なかなかそうは儲かるものじゃない。三年儲かったら、その一年分を返す。こういう考えでやるとよろしい。その肚ができておれば、この際なにも驚く必要はない」

- 1894年11月27日~1989年4月27日(94歳没)
- 日本出身
- 実業家、発明家、パナソニック(松下電器産業)創業者、「経営の神様」
原文
「三年も儲かったら、その明けの年もまた儲かるかというと、なかなかそうは儲かるものじゃない。三年儲かったら、その一年分を返す。こういう考えでやるとよろしい。その肚ができておれば、この際なにも驚く必要はない」
出典
仕事の夢 暮しの夢
解説
この言葉は、景気の波や事業の浮き沈みに対する松下幸之助の慎重で現実的な姿勢を表している。好況が続いたからといって、それが永続するとは限らず、むしろ「儲かった年の分だけは返すつもりで構えておけ」という心構えが、経営者に求められるというのである。
これは、いわゆる「ダム経営」の発想にも通じる。儲かっているときほど気を引き締め、将来の不況や思わぬ失速に備えて内部留保を厚くし、投資や人員計画も慎重に行うべきだという教訓である。たとえば、バブル期の過剰投資が後の経営悪化を招いた例や、ITバブル崩壊の際に無理な拡大路線をとっていた企業が一気に倒れた事例を見れば、その先見性がよくわかる。
現代社会においても、急成長したスタートアップやベンチャー企業が、好況時の成功に浮かれたまま準備不足のまま市場変動に直面し、急速に衰退することは珍しくない。だからこそ、長期的な視点で「三歩進んだら一歩下がる」くらいの余裕と構えを持ち、次の不況や変化に備える姿勢が、真に持続可能な経営を導くのである。
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