「『なんで君、そんなに合うのか』とよく聞かれるが、その根拠は科学的に説明できない。それは長年の経験によってわかるのだが、それがわからんようなことでは商売はできないものだ」

- 1894年11月27日~1989年4月27日(94歳没)
- 日本出身
- 実業家、発明家、パナソニック(松下電器産業)創業者、「経営の神様」
原文
「『なんで君、そんなに合うのか』とよく聞かれるが、その根拠は科学的に説明できない。それは長年の経験によってわかるのだが、それがわからんようなことでは商売はできないものだ」
出典
仕事の夢 暮しの夢
解説
この言葉は、商売において最終的な判断や感覚は、理屈やデータだけでは捉えきれない「経験知」に支えられていることを説いている。顧客の好みや市場の動向に「ぴたりと合う」製品や方針を選び取る力は、マニュアルや分析だけでは得られず、現場での蓄積から生まれる直感的な判断に依存している。つまり、商売の要諦には、数値化できない洞察力が深く関わっているという認識がある。
松下幸之助は、自らの経営哲学の中で、理論と実践のバランスを非常に重視していた。理屈で完璧に正しいことが、実際の現場では必ずしも通用しないということを、何度も体験してきたからこそ、「経験に裏打ちされた感覚」の重要性を説いたのである。その感覚は、一朝一夕には身につかず、失敗と成功を繰り返す中で鍛えられていくものであり、商売に携わる者が必ず身につけるべき資質であると考えられていた。
現代においても、AIやビッグデータが意思決定の一助となる一方で、最終判断を下す人間の直観や経験が依然として不可欠である。たとえば、データでは予測しきれない顧客心理や、地域ごとの微妙な嗜好の違いは、現場での観察や経験によってしか得られない。こうした感覚を軽視せず、地道に磨いていくことこそ、変化の激しい時代における商売の確かな基盤となる。
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