「お互いの経営なり、商売というものは、これを医学にたとえれば、基礎医学ではなく臨床医学にあたると思うのです。その意味では、これにあたる者はみな、実地の体験を積んだ臨床家でなくてはならないと思います」

松下幸之助(画像はイメージです)
松下幸之助(画像はイメージです)
  • 1894年11月27日~1989年4月27日(94歳没)
  • 日本出身
  • 実業家、発明家、パナソニック(松下電器産業)創業者、「経営の神様」

原文

「お互いの経営なり、商売というものは、これを医学にたとえれば、基礎医学ではなく臨床医学にあたると思うのです。その意味では、これにあたる者はみな、実地の体験を積んだ臨床家でなくてはならないと思います」

出典

経営心得帖

解説

この言葉は、経営や商売は理論よりも実地経験が重視される領域であるという教えである。基礎医学が理論や研究を基盤とするのに対し、臨床医学は患者を直接診て治療する実践で成り立つ。同様に、経営や商売も机上の知識だけでは不十分で、実際の現場での経験と判断がなければ成功しないと松下幸之助は説いている。

背景には、松下自身が学歴に恵まれず、現場での体験から経営を学び取った生涯がある。彼は商売を実践の学問と位置づけ、現場での観察・失敗・工夫を重ねて独自の経営哲学を築いた。そのため、理論は否定せずとも、それ以上に臨床家のように現場で体験を積む姿勢を重んじたのである。

現代においても、この考えは普遍的である。経営学やビジネス理論は数多く存在するが、実際の企業経営や商売の成否は現場での判断や経験に大きく左右される。スタートアップ経営者が失敗と挑戦を重ねて事業を磨く過程や、営業現場で顧客と直接向き合う中で得られる洞察は、まさに臨床経験に相当する。つまり、経営者や商人は臨床家のように実践の中で鍛えられてこそ、本物となるのである。

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