「人が煉獄の暗い苦しみから自らを救うために滅びゆく財産を差し出したとき、理性を働かせていた唯一の人間である聖職者たちの貪欲さ以外の何が、教会にこれほど莫大な財産をもたらしたのでしょうか」

メアリ・ウルストンクラフト(画像はイメージです)
  • 1759年4月27日~1797年9月10日(38歳没)
  • イギリス出身
  • 作家、哲学者

英文

”What, but the rapacity of the only men who exercised their reason, the priests, secured such vast property to the church, when a man gave his perishable substance to save himself from the dark torments of purgatory.”

日本語訳

「人が煉獄の暗い苦しみから自らを救うために滅びゆく財産を差し出したとき、理性を働かせていた唯一の人間である聖職者たちの貪欲さ以外の何が、教会にこれほど莫大な財産をもたらしたのでしょうか」

解説

この言葉は、中世から近世にかけての教会と聖職者の権力構造を批判している。信徒は死後の救済を恐れ、煉獄の苦しみから逃れるために教会へ寄進を行った。しかし、それを制度化し莫大な財産を築いたのは、理性を用いて制度を巧みに操作した聖職者の貪欲さであったと著者は指摘している。

ここでの核心は、理性の使い方に関する批判である。理性は本来、人間を自由と真理へ導くはずの力であるが、聖職者はそれを人々の恐怖を利用する道具として行使した。その結果、教会は巨大な財力と権力を蓄え、人間の精神の進歩を抑圧する存在となった。著者は、理性が誤用されるときの危険性を鋭く描いている。

現代においても、この問題は形を変えて残っている。人々の不安や恐怖を利用して利益を得る仕組みは、宗教だけでなく政治や経済にも存在する。したがって、この名言は理性をいかに正しく用いるかという課題を突きつけ、権威や制度に対して批判的に考える必要性を強調しているのである。

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