「世界が長い時間をかけてようやく解放されつつある君主や大臣への奴隷的服従は、なおも人間の精神の進歩を阻む致命的な支配として存在し、いまだ廃されてはいません」

メアリ・ウルストンクラフト(画像はイメージです)
  • 1759年4月27日~1797年9月10日(38歳没)
  • イギリス出身
  • 作家、哲学者

英文

”Slavery to monarchs and ministers, which the world will be long freeing itself from, and whose deadly grasp stops the progress of the human mind, is not yet abolished.”

日本語訳

「世界が長い時間をかけてようやく解放されつつある君主や大臣への奴隷的服従は、なおも人間の精神の進歩を阻む致命的な支配として存在し、いまだ廃されてはいません」

解説

この言葉は、絶対的権力への従属が人間の精神を束縛している現実を批判している。王や大臣といった支配者に盲目的に従うことは、個々人の理性や自由な思考を麻痺させ、進歩を妨げる。著者は、政治的な従属が単に権利の問題ではなく、人間の精神の発展そのものを阻害する致命的な要因であると指摘しているのである。

この発言は、絶対王政から立憲主義へ移行する時代背景と深く結びついている。啓蒙思想が広がる中で、人々は理性と自由を基盤とする社会を求めた。しかし現実には、権力者への服従の習慣が根強く残り、真の精神的解放は達成されていなかった。著者はその矛盾を鋭く批判したのである。

現代社会においても、この名言は示唆的である。権威主義的な指導者や不透明な政治構造に従うことで、自由な言論や批判精神が抑圧されることは少なくない。つまり、この言葉は過去の批判にとどまらず、人間の理性と精神の進歩を守るために権力への奴隷的服従を拒絶せよという普遍的な警告を発しているのである。

感想はコメント欄へ

この名言に触れて、あなたの感想や名言に関する話などを是非コメント欄に書いてみませんか?

「メアリ・ウルストンクラフト」の前後の名言へ


申し込む
注目する
guest

0 Comments
最も古い
最も新しい 高評価
インラインフィードバック
すべてのコメントを見る