「私が存在をやめること、あるいは喜びにも悲しみにも等しく敏感なこの活動的で落ち着かない精神が、単なる組織化された塵にすぎないということは、私には不可能に思えるのです」

メアリ・ウルストンクラフト(画像はイメージです)
  • 1759年4月27日~1797年9月10日(38歳没)
  • イギリス出身
  • 作家、哲学者

英文

”It appears to me impossible that I should cease to exist, or that this active, restless spirit, equally alive to joy and sorrow, should be only organized dust.”

日本語訳

「私が存在をやめること、あるいは喜びにも悲しみにも等しく敏感なこの活動的で落ち着かない精神が、単なる組織化された塵にすぎないということは、私には不可能に思えるのです」

解説

この言葉は、人間の精神の不滅性への直観的な信念を表している。著者は、自分の心が持つ活力や感受性が、肉体の死とともに消滅して「塵」と化すとは考えにくいと述べている。ここには、人間の精神は物質を超えた何かであり、生と死を越えて存続する可能性があるという思想が込められている。

18世紀の啓蒙期は、理性による人間理解が重視される一方で、死後の存在や魂の不滅をめぐる議論が盛んに行われていた。著者は理性的な探究を重んじつつも、同時に人間の精神の特異さを直感的に信じ、単なる物質論に収まりきらない人間存在の価値を強調している。この姿勢は、合理主義と精神的探求の緊張関係を示している。

現代においても、この名言は人間存在の根源的な問いを投げかける。脳科学や物質主義的な説明が進んでも、なお私たちは「心」が単なる物質の作用では説明できないと感じる瞬間がある。つまりこの言葉は、人間とは何か、死後も精神は存続するのかという普遍的な問題を提起し続けるものであり、哲学的・宗教的探求の原点を示しているのである。

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