「個人を向上させることなく、より良い世界を築くことは望めません。そのためには、私たち一人ひとりが自己の向上に努めると同時に、人類全体に対する一般的な責任を共有し、特に自分が最も役に立てると考える人々を助けることが私たちの特別な義務なのです」

- 1867年11月7日~1934年7月4日
- ポーランド出身(後にフランスで活動)
- 物理学者、化学者、教育者
英文
“You cannot hope to build a better world without improving the individuals. To that end, each of us must work for his own improvement and, at the same time, share a general responsibility for all humanity, our particular duty being to aid those to whom we think we can be most useful.”
日本語訳
「個人を向上させることなく、より良い世界を築くことは望めません。そのためには、私たち一人ひとりが自己の向上に努めると同時に、人類全体に対する一般的な責任を共有し、特に自分が最も役に立てると考える人々を助けることが私たちの特別な義務なのです」
解説
この言葉は、社会の改善と個人の成長は切り離せないものであるという、倫理的かつ哲学的な視点からの提言である。マリー・キュリーは、科学者としてだけでなく、人間としての責任を強く意識していた人物であり、自分自身の研鑽と他者への奉仕を両立すべきだと説いている。この考え方は、進歩は外的な制度や技術だけではなく、内面的な人格の向上によって支えられるべきであるという人間観に基づいている。
特に注目すべきは、「最も役に立てる人々を助ける」という実践的な部分である。これは単なる抽象的な博愛主義ではなく、現実的な能力や立場を考慮したうえでの責任の行使を意味する。マリー自身も、第一次世界大戦中に移動式X線車を運用して負傷兵を助けるなど、科学の知識を社会的貢献に具体的に活かした先駆者であった。
この言葉は現代においても非常に重要なメッセージである。自己実現と社会貢献を対立させるのではなく、相互に補完し合うものとして捉えることで、持続可能で意味ある生き方が可能になる。個人の努力と全体への責任のバランスを考える上で、本質的な道しるべとなる一文である。
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