「私の実験により、ウラン化合物の放射線は特定の条件下で正確に測定でき、その放射線がウランという元素固有の原子特性であることが証明されました」

- 1867年11月7日~1934年7月4日
- ポーランド出身(後にフランスで活動)
- 物理学者、化学者、教育者
英文
“My experiments proved that the radiation of uranium compounds can be measured with precision under determined conditions and that this radiation is an atomic property of the element of uranium.”
日本語訳
「私の実験により、ウラン化合物の放射線は特定の条件下で正確に測定でき、その放射線がウランという元素固有の原子特性であることが証明されました」
解説
この言葉は、放射能という現象が物質の化合状態ではなく、元素そのものに由来するという、マリー・キュリーの重要な科学的発見を要約したものである。彼女は、ウランを含むさまざまな化合物を調べる中で、その放射線の強さが化合の形に左右されないことに気づき、放射線がウラン原子自体に内在する性質であることを突き止めた。これは、原子構造に関する理解を根底から変える画期的な知見であった。
この発見は、のちに「放射能(radioactivity)」という概念の確立へとつながる。19世紀末の科学界では、原子は不可分の基本単位であり、不変であるという考え方が支配的であった。しかしこの成果は、原子がエネルギーを放出しうる動的な存在であることを示す最初の証拠の一つであり、原子物理学の幕開けを告げる基礎となった。
この一文は、精密な観察と理論的直感の結びつきが、科学の大転換をもたらすことを証明している。マリー・キュリーの冷静な実験と大胆な洞察は、放射能研究のみならず、20世紀以降の核物理・医学・エネルギー分野に計り知れない影響を与えることとなった。科学における本質の見極めが、時代を切り開く力となることを示す歴史的な一言である。
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