「1894年の間に、ピエール・キュリーは私に何通もの手紙を書いてくれました。それらの手紙は形式の面で見事だと思います。どれも長文ではありませんでしたが、それは彼が簡潔に表現する習慣を持っていたからです。それでも、どの手紙にも誠実な心が込められており、彼が人生の伴侶に望んだ相手に自分という人間を正直に知ってもらいたいという切実な願いがにじんでいました」

マリ・キュリーの名言・格言・警句(画像はイメージです)
  • 1867年11月7日~1934年7月4日
  • ポーランド出身(後にフランスで活動)
  • 物理学者、化学者、教育者

英文

“During the year 1894, Pierre Curie wrote me letters that seem to me admirable in their form. No one of them was very long, for he had the habit of concise expression, but all were written in a spirit of sincerity and with an evident anxiety to make the one he desired as a companion know him as he was.”

日本語訳

「1894年の間に、ピエール・キュリーは私に何通もの手紙を書いてくれました。それらの手紙は形式の面で見事だと思います。どれも長文ではありませんでしたが、それは彼が簡潔に表現する習慣を持っていたからです。それでも、どの手紙にも誠実な心が込められており、彼が人生の伴侶に望んだ相手に自分という人間を正直に知ってもらいたいという切実な願いがにじんでいました」

解説

この言葉は、科学的な連携だけでなく、深い人間的結びつきに基づくマリーとピエールの関係の始まりを物語るものである。ここでマリーは、ピエールから送られた手紙の形式美と内面の誠実さを称えている。特に注目すべきは、「簡潔でありながら、心からの真実を伝える表現」の価値であり、これは科学的記述にも共通する美学である。

19世紀の通信手段としての手紙は、人格や知性、感情を伝える主要な手段であった。ピエールはその限られた字数の中で、自らを誤魔化すことなく相手に理解されようとする姿勢を貫いた。これは、誠実な対話が人間関係の土台となることを示す重要な証左であり、今日のコミュニケーションにおいても見習うべき姿勢である。

またこの言葉は、マリー・キュリー自身が人の誠実さや知的姿勢を深く評価していたことをも示している。科学と人生において、飾らず正直であることが真の信頼と協力を築く鍵であるという普遍的な価値観がここに表れている。形式よりも中身、言葉よりも心──その原理が、ふたりの共同研究と結婚生活の礎となったのである。

感想はコメント欄へ

この名言に触れて、あなたの感想や名言に関する話などを是非コメント欄に書いてみませんか?


申し込む
注目する
guest

0 Comments
最も古い
最新 高評価
インラインフィードバック
すべてのコメントを見る