「ハイジャックが続いている間は、テロリストの士気や大義を助けるような言動や報道を控えるという自主的な行動規範を、メディア自身が話し合って定めるよう求めるべきではないでしょうか」

- 1925年10月13日~2013年4月8日
- イギリス出身
- 政治家、弁護士、化学者
英文
“Ought we not to ask the media to agree among themselves a voluntary code of conduct, under which they would not say or show anything which could assist the terrorists’ morale or their cause while the hijack lasted.”
日本語訳
「ハイジャックが続いている間は、テロリストの士気や大義を助けるような言動や報道を控えるという自主的な行動規範を、メディア自身が話し合って定めるよう求めるべきではないでしょうか」
解説
この言葉は、メディアの自由と国家安全保障との間にある緊張関係について、マーガレット・サッチャーが慎重に提案した考え方を示している。彼女は、報道の自由を否定するのではなく、報道が無意識のうちにテロリストの目的達成に加担する可能性があることを憂慮しており、そのために「自主的な規律」という形での協力をメディアに求めるべきだと訴えている。
特に1980年代は、ハイジャックやテロ事件がメディアを通じて瞬時に世界中に報道される時代となり、その報道が犯人側の注目獲得や要求圧力の手段として利用されることが懸念されていた。サッチャーは、国家としての対応を妨げるような過剰な報道は避けるべきだとしつつ、報道機関の自主性を尊重した上で、公共の利益のための自制を促すというバランス感覚を持っていた。
現代でも、SNSやライブ報道の影響力が増す中で、テロ事件の扱い方が常に問われている。この名言は、自由な報道と社会的責任の共存という難題に対し、「強制ではなく合意による規律」を模索する姿勢を示したものであり、情報時代における報道倫理の在り方を考えるうえで今なお示唆に富む言葉である。
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