「もし多くの有力者たちが、私たちが冷戦で何と闘ってきたのか、そしてそれをどう乗り越えたのかを理解していないか、あるいは忘れてしまっているのならば、自由が勝ち取ってきた成果を守ることはおろか、それを拡大することなど到底できません」

マーガレット・サッチャーの名言・格言・警句(画像はイメージです)
マーガレット・サッチャーの名言・格言・警句(画像はイメージです)
  • 1925年10月13日~2013年4月8日
  • イギリス出身
  • 政治家、弁護士、化学者

英文

“If… many influential people have failed to understand, or have just forgotten, what we were up against in the Cold War and how we overcame it, they are not going to be capable of securing, let alone enlarging, the gains that liberty has made.”

日本語訳

「もし多くの有力者たちが、私たちが冷戦で何と闘ってきたのか、そしてそれをどう乗り越えたのかを理解していないか、あるいは忘れてしまっているのならば、自由が勝ち取ってきた成果を守ることはおろか、それを拡大することなど到底できません」

解説

この言葉は、歴史の記憶と自由の維持との密接な関係を訴えている。マーガレット・サッチャーは、冷戦を単なる地政学的対立ではなく、自由主義と全体主義という価値観の闘いと捉えていた。したがって、その意味や経緯を忘れることは、得られた自由の脆弱化と、再び同じ過ちを繰り返す危険性を招くという強い警鐘が込められている。

この発言は、冷戦終結後の1990年代にかけて、自由民主主義の勝利が当然視されはじめた空気に対しての反発として見ることができる。サッチャーは、ソ連の崩壊や東欧の自由化は自然発生的な出来事ではなく、継続的な圧力、軍事的抑止力、そして理念の堅持によって勝ち取られた成果であると考えていた。したがって、その記憶の風化は、自由の拡大どころかその維持すら危うくすると警告している。

現代においても、自由や民主主義を当然のものと考える風潮は広がりつつあるが、世界各地で専制体制や情報統制の動きが見られる今、この言葉は自由を得るには代償が必要であり、その代償を忘れてはならないという普遍的な教訓を示している。歴史を知ることが未来の自由を守る条件であるという点において、極めて重い意味を持つ名言である。

感想はコメント欄へ

この名言に触れて、あなたの感想や名言に関する話などを是非コメント欄に書いてみませんか?


申し込む
注目する
guest

0 Comments
最も古い
最新 高評価
インラインフィードバック
すべてのコメントを見る